日本全国に永六輔と関わりを持った人がいます。仕事や趣味や活動で一緒に行動し、話し合い、助け合い、教えあった仲間です。その人たちは永六輔との間に忘れられない思い出があり、その人のみが知る永六輔がいます。
様々な分野の中から貴重なエピソードを訊き出したい。そこからは単に永六輔の実像ばかりではなく、永が生きた時代の真実が見えてくるでしょう。
永六輔は83歳の人生で何をしたのであろうか、何を遺したのだろうか。その功績はどう評価すべきなのであろうか。残された私たちは何をどう引き継げば良いのだろうか。
永六輔を総括したい。放送人やジャーナリストに「永六輔論」をまとめていただいた。
永六輔は短い言葉で伝えることの名人であった。一言で真髄を描こうとした。それは「ハガキに似合っていた」。「ハガキに書ける字数で伝えたいことを書きなさい」と教えられた。
そして、自分も毎日沢山のハガキを書いた。深夜放送時代には送られてきたハガキ全てに返事を書いた。月に1万通を越えた。総計すると全国では数十万通か。そこに永六輔の心が見える。どんな場合も、一人一人の個人と常に向かい合って生きた永六輔の証拠がある。